鈴木敏夫さんの「ジブリの仲間たち」を読みました

ジブリの仲間たち Books

先日、ジブリ展に行ってきたのですが、いく際に、「ジブリの事についてもっと深く知ってからにしよう」と決め、1冊の本を買うことにしました。それが、「ジブリの仲間たち」です。おすすめしていただいたのももちろんですが、個人的にも鈴木敏夫さんがどういう思いでジブリのディレクターとしてやってきたのかが気になり、購入しました。

 

ジブリは決して、甘い世界じゃない

「ジブリの仲間たち」は、ジブリ初作品から人気作品『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などをどうやって広告して、どう稼いでいったのか、宮崎駿さんなどの作成秘話ではなく広告目線で日々葛藤する鈴木敏夫さんのことをまとめている本です。執筆はもちろん鈴木敏夫さん。いままでさまざまなジブリ作品を世に送り出す縁の下の力持ちとして動いてきた人です。

購入の決め手になったのは、amazonのこの説明文。

『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』etc……ジブリはなぜ常に予想を超えるヒットを生みだし続けることができたのか。そこには作品の力に加え、プロデューサーである著者と、仲間たちの力があった。「宣伝の本質は仲間を増やすこと」という思想の下、監督と激論を交わし、企業を巻き込み、駆けずりまわり、汗まみれになって体得してきた経験則とは――。秘話満載で綴る、三〇年間の格闘の記録。

引用:https://www.amazon.co.jp/dp/B01HB5OKWA

企業を巻き込み、駆けずりまわり、汗まみれになって体得してきた経験則ってカッコよすぎませんか?購入後、一気に読んでしまいました。

この本のすごいのは、ジブリに関わる人の名前を社名含めて実名で公開し、鈴木敏夫さんがどう考え、どう行動したのかが網羅して書かれているところ。その中に、鈴木敏夫さんが考える「この映画はこうしたい」という思いだけでなく、実際にどういう反発があり、どう考えたのかまで細かく紹介されており、リアルな情景が目に浮かびます。

僕は広告という世界に身を置いている人間なので、やはり映画の広告手法がどのようなものなのか勉強になりました。「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、同じ映画の広告を3回見ればお客さんは映画館に行きたくなると思う」という鈴木さんの感覚、とても参考になります。ネット広告ばかり触っている僕としては、信じがたいことでしたがマスメディアの広告手法のパワーはまだまだあるんですね。

鈴木敏夫さんはエリートではなく努力家

この本を読む前は、「鈴木敏夫さんはきっと、とてもエリートでセンスもあるんだな」と思っていました。でも、それは全く見当違いだったみたいです。

実際は泥臭くいろんな人とぶつかり、時には失敗しながらただただ成功のために動いていた。そんな行動が多くの人の心を動かし、たくさんの作品を成功させてきた。作品を作っているだけでは成功しない、広告も成功させてはじめてたくさんの人に影響を与えられる。

そんなことを学ばせてもらった本でした。また、Webの広告しか扱っていない僕としては、「制作」「配給」「興行」がヒットする要因という3大原則を学べたのも収穫でした。

実は鈴木さん、広告手法の中でコンビニも使用していました。たくさんの広告手法を探る中で若者にとってとても訴求できる場所だと知りローソンと正式契約をして、実際に数億円の広告効果を発揮。その時の影響からか、ジブリ美術館のチケットはローソンで販売しているみたいです。こういう裏話を知れるのも本の素晴らしいところですよね。

「ジブリの仲間たち」はジブリがもっと好きになる本

「ジブリの仲間たち」を読むことで、ジブリが大好きな人たちももっと好きになれる情報をたくさん知ることができます。例えば、映画の広告コピーはこんな感じで出来上がっていたのに監督の一声で却下されて変わったとか、広告を打とうとしたらもう枠が余っていなくてむりやり交渉して枠を開けてもらったとか。ポスターの広告文に最後までこだわる時もあれば、妥協してしまった時もあるとか。

挙げだすとキリがありません。

省略するところは一つもないくらい読む価値がある濃い内容が書かれていました。1回だけでなく、数回読むとまた別の学びがあるそんな作品でした。

 

さて、まとめとなりますが個人的に、この本の中で大好きなところが2つあります。

1つめは、冒頭に書かれている「はじめに」というところの文章がとても好きです。

ジブリ設立から30年が経ち、劇場公開作品が23本を超えた今、なぜ本に思いやいままでのことを書こうと思ったのか、映画を売るためにやってきたことを書くことでヒントを与えることができる。そんな鈴木さんのスタンスが僕は好きです。有名な人が書く本は、お金儲けの匂いがするのとコンテンツの厚みが全くないので嫌なんですよね。

そして2つめは、「いろんな方の視点」です。鈴木敏夫さん以外のジブリに関わった方たちの文章も掲載されていて、鈴木さんが完璧ではなかったことを知ることができると同時に、鈴木さんが多くの人の心を動かしてきたんだと実感できます。鈴木さんにとってメリットもないこの他の人のコンテンツをなぜ載せたのかはわかりませんが、このタイミングだからこそいろんな人の意見を聞くために利用したのかもしれませんね。僕は、東宝宣伝プロデューサーの市川南さんの文章が好きでした。鈴木さんの名言を紹介していました。

プロデューサーの仕事というのは探偵業と同じなんだ。(中略)現代というのはどういう時代なのかを探る。それを元にどう宣伝するかを考えなきゃいけない。映画というのはストーリーを売るんじゃない。哲学を売るんだ。

引用:「ジブリの仲間たち」 - 鈴木敏夫 著

これは、広告というものに携わるすべての人に言えることです。ニーズを知ること、それに沿ってどうやって売るのかということ。僕もまだまだ勉強を続けなければいけないみたいです。

 


 

さて、長文にて紹介してきた「ジブリの仲間たち」ですが、本当におすすめです。細かく紹介したいのですが、まずは読んでいただくことをお勧めします。値段もお買い得(コスパがよすぎる)のでぜひ買ってみてくださいね。